日々徒然

創作家具 安藤和夫

古いブーツが出てきた!

古いブーツが出てきた。・・・昔、元町本通り喜久屋の角を右手霧笛楼方向に曲がってすぐのところに「大木」という靴屋さんがあった。
40228v_0001.jpg
そこでオーダーしたのがこれ。


40228v_0002.jpg

当時家具修行中の私は気負っていた。
一流のものを造る職人となるため、まず身に着けるものも一流でなければならぬ!
その第一歩に選んだのが靴。
当時乗っていた単車用でもあった。(YAMAHA XS650)

オーダーメイドの靴は自身の木型を造るところから始めると言うところも気に入った。
本物は時間がかかるのである。

元町にはかねてより目星を着けていた渋い靴屋さんがあった。
意を決して入店、来意を告げると、怖い顔をしたご主人は、しばらく私を見たあと、ぶっきらぼうに「ここに足を置いて」と新聞紙を広げた。
そこに足を置くと、赤鉛筆で周囲をぐるっとなぞり、甲など数箇所の寸法を取った。
次に、希望の革の種類、色、マチエール(シボの有る無し)、デザインコンセプト、用途、細部の仕上げなどを尋問された。
そこで「つま先からボディーに移るところに切り返しを入れ三本のステッチを入れて欲しい」とこわごわとお願いしたところ?
・・・ご主人の態度が豹変した。
急に饒舌になり、顔色が輝きを増した。・・・?

何が起こったのか分からなかったのだが、このステッチが気に入ったらしい。
ご主人はやおら棚にあった革を取り出し、裏返して末端部分を切れる刃物で薄く漉きだした。恐ろしく切れる刃物だった。革の厚さは3分の1以下になった。
それを折り曲げて裏返すと、その段差のほとんどない折り目部分を自慢げに私に見せた。
ここを縫えば私の意図する「三本ステッチ」部分になる、その実演をしてくれたのだった。

そこから話が弾んだ。
自分は元町で洋家具の修行中であることも伝えた。
色々な革を見せてくれた。

聞けば、当時元町に「ボナンザ」というカントリーのライブハウスがあり、そこに出演するプロの演奏家の人達が皆こちらでオリジナルのブーツをオーダーしているのだという。
道理で、派手な色あいで様々なシボの入った見たこともないような革がたくさんあった、象の皮もあった。

話がトントン拍子に進んだのは良いが、なにか「これで大丈夫なのか?」という一抹の不安を感じつつ帰途についた。

仮合わせに指定された日に伺い、そのブーツを履いてみて驚愕した。
ピッタリなのである。
あんな簡単に寸法採っただけなのに?木型も作らないで?
心配が安心に変わり、肝心の木型の話を切り出すと「心配いらない、あんたの足は市会議員の●●さんと同じだからそれを使う」という。
そして「先生が死んだらあんたはそれを使えばいい」と言ってくれた。
流石プロであった。
すこしでも不信感を感じた自分の不明を恥じた。

その後また何日か経ち、指定日にうかがうと、思った通りのブーツが出来上がっていた。
それがこのブーツ。

編み上げも最近は形だけで脇にファスナーを付けてというオーダーが多いようだが、私はそれも要らないと言った、これも気に入ってもらえたようだ。

単車に乗る直前、その高ぶる心を抑えるようにゆっくりと紐を編み上げる。これは儀式なのだ。

フックも付けず、最上部まで全てを編み上げたブーツは美しかった。
ヒールは自衛隊の幹部専用のものだというものを使ってくれた、あえて革ではない。
質実剛健なれど美学の篭ったブーツが出来上がった。

私がそのブーツを履いた姿を見て大木さんも嬉しそうだった。
これは大木さんと私との合作に違いない。
そう思えたのだった。

久しぶりに手入れをしよう。

そして、出かけてみよう!

荒ぶる心を抑えて?笑。

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://andokobo.blog73.fc2.com/tb.php/1360-49ac8f43

 | 最新 | 








Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Monthly


Profile












FC2Ad