日々徒然

創作家具 安藤和夫

【むかし、僕も【非電化】を目指していた!】

2008年春に8回にわたって書いていたブログの再録です。
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これは第8回番外編で書いた永久機関「スターリングエンジン」2008-04-12
詳しくは文末をご覧下さい。
何しろ8回分ですので少々長いです、お暇なときにどうぞ!
【むかし、僕も【非電化】を目指していた!その①】2008-03-19
 昔、元町で家具の修行をしていた時代、よく独立後のことを夢想していました。

 どんな家具を作ろうか?ということももちろん考えていたのですが、どんな風に暮らしたいのか?どんな家に住みたいのか?どんなカタチで人に出会ってゆくのか?など、様々に思いをめぐらしていたのでした。

 時代の前衛に自らの立ち位置を定めようと欲していた(大げさ?笑)僕にとって、「どんなシステムで家具を作ってゆくのか?」ということにも大いに関心を持っていました。

 その当時、エネルギー問題に関しても、もうすでに時代の予見性を持っている人の間では、脱化石燃料、脱原発の方向性を模索されていた頃でした。
 その行き着くところには【脱電力】も含まれているのです。 
 そうなると当然電動工具は使いたくありません。

 模索と空想の果てに僕がたどり着いたのは【蒸気機関】でした。・・・続く!

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【むかし、僕も【非電化】を目指していた!その②】2008-03-22
 まず「蒸気機関車」を一台手に入れ、石炭・コークスだけではなく、薪やごみでも燃焼できるように改造し、そこから発生するエネルギーで全ての衣・食・住・職をまかなうという画期的なもの。(出来るかどうかは別として!)

 もちろん燃焼が基本ですからお湯は出ますので、お風呂や炊事や暖房などはこれで間に合います。

 そして、その駆動力を一次的に使って、打つ・回す・挽く、などの様々な仕事をする。回るものなら何でも可能。回転力を直線方向に変換するのも、理科の知識程度で可能、これはかなりの力が取り出せそうです。

 それだけでなく、蒸気機関から作られる空気を貯めて使う、というのがこのプロジェクトのミソ!
 貯めておけないエネルギーを圧縮空気のカタチで保存するのです。コンプレッサーですね。

 コンプレッサーに貯められた圧縮空気を使って、各種エアーツールを作動させれば色々な仕事が出来ます。

 例えば・・・ドリル:穴を開ける。ドライバー:ネジを締める。サンダー:研磨する。


 機関部に連結して、工房、展示棟、住居スペース、などを内蔵した車両を引っ張れば、移動も可能。線路さえあれば何処へでも行ける、何しろ蒸気機関車なのですから。

 そう、これが実現すれば、電柱からも解放され、つまり、ひも付きから独立できるのです。日本中好きなところに移動しながら家具を作り、暮らせるのです。

 そうだ、蒸気機関“自動車”にすれば、もっと自由度が増す!・・・トレーラーだ!・・・夢は膨らみます。・・・続く!
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【むかし、僕も【非電化】を目指していた!その③】2008-03-30
 動力源が一つあれば、そこから工房内で工具を使うポイントにラインを這わせ、アタッチメントで付け替えられる先端工具を端末に用意するというのは、今でも車などのあらゆる製造ラインで普通に使われている方式です。
 では、木工所は実際にどうしているか?というと、このギョウカイは個人営業か零細企業がほとんどなので、電動工具が主流です。(量産メーカーは省きます!例:○トりとか)

 電動工具というのは、例えば、電気ドリル、電気かんな、電気サンダー、などなど、それぞれの工具が、それぞれに一つずつ動力源であるモーターを内蔵していなければならないのです。その分当然重いですし、壊れたらまるごと取り替えです。

 これは電動工具と言うシステムの持つ“根本的な限界”であると僕は気付いたのです。

 それが、エアーシステムならば、大元からラインでエアーさえ来ていれば、端末工具に動力源であるモーターが要らない。

 回る、前後する、打つ、叩く、吹く、とかの機能を叶える末端工具があれば良いのです。
 モーターの無い分、工具自体も小さくて軽く済みます。
 おまけに、大きな特徴として、モーターに比べ音も非常に静かです。ガス排気もありません!

 インフラさえ整備すれば、コレはすぐれたシステムだな~!
 

 難点は、ヒモ付きなこと!
 エアーホースが繋がっていないと動きません。コレは邪魔だな~!

 でも、電動工具は電気コードがあるので同じ!・・・・と思っていたら!・・・続く!
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【むかし、僕も【非電化】を目指していた!その④】2008-04-01

 この、電動工具ではなく、エアーシステムを使うという発想は、車好きな友人達の仕事場の流れを見て気がついたこと。

 彼らの生業とする自動車修理工場には、必ず大きなエアーコンプレッサーがあり、一つの動力源から大きな力を引き出しています。コレは実に合理的なシステムです。

 彼らが命を掛けて遊んでいたカーレースもそうでした。ピットインした車体をジャッキアップし、タイヤ交換をするその速さと言ったら!コレもみな油圧か空気圧のなせる業なのです。

 家具作りの修行を終え、念願がかない、独立して工房を持った僕は早速エアーコンプレッサーを導入。徐々に端末の工具を揃え、夢のシステムが順調に稼動するかと思っていたら!

・・・・ここで思わぬ伏兵が!

 エアーツールの最大の難点である「ホース」・・・コレは電動工具でも「コード」があるから同じだと思っていたのが大間違い。

 コードの要らない充電式の電動工具が飛躍的に発達してきたのです。

 昔から充電式の電動工具はありましたが、力も弱く、すぐに充電が切れてしまい、現場では、あまり使い物にはならなかったのです。

 それがすごい勢いで改善され、ボルト数も上がり(力が強くなった)、身の回りのほとんどの工具が充電式、つまりコードレスになってしまったのでした。
 これは実に説得力のある革新だったのです。だってヒモ付きからの解放なのですから!

 コレではエアーは電気に勝ち目がありませんね~。

 おかげで、僕の夢もついえたのか!と思いきや。・・・・続く!
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【むかし、僕も【非電化】を目指していた!その⑤】2008-04-03
 充電式電動工具の進化にめげながらも、ある日、はたとひらめいたことがありました。

 それは大分県にある小鹿田(おんた)という焼き物の産地の風景を思い出したときでした。
 
 確か、益子の浜田庄司さんがお連になったのだと思いましたが、バーナードリーチさんがこの地を訪れ、絶賛したというのです。

 何にかと言うと、この集落は傾斜地にあり、真ん中を流れる水路のまわりに焼き物の製作工房が点在しているのです。
 そこでは、焼き物を作る原材料である陶土を掘り出した後、水車を使って砕いているのです。

 実に合理的に、集落全体が一つの連続したラインのように陶器製作の家々が川に沿って点在しているのです。

 リーチはこの集落全体のたたずまい、人々の暮らしぶりに深く感動したのでした。

 水車のこんな使い方なんて始めてみましたが、コレは僕にとっても目からうろこでした。

 そうだ、水車も良いではないか!・・・そうです、水車の駆動力を使って各種の仕事をし、コンプレッサーを回して空気を圧縮して・・・材木の搬入、出来上がった家具の搬出は船を使い!・・・・粉も挽けるのでコーヒーも飲めれば蕎麦も挽きたてを喰える!・・・ 
   
 見た目の絵面も良い!・・・廃熱も無ければ廃棄物も無い!・・・あるのはコットンコットンと脈打つように刻み続ける杵の音のみ!・・・良いではないか!・・・続く!
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【むかし、僕も【非電化】を目指していた!その⑥】2008-04-05
 水車の魅力に惹かれて、なんとか川に面した場所に住みたい。と、本気で思っていたのでしたが、そう都合の良い場所は見つからず、現在このアイデアは一時保留中(あくまで一時です!)。

 水の次に来るエネルギー源は、空気、風、・・・そう風力です。
 風車の回転力を使って各種の仕事をし・・・コンプレッサーを回して・・・以下水車と同文(笑)。

 ここまで書いてきた様々なことに共通するポイントは、【自然界由来の力を電気に置き換えると言う発想をとらない】こと。

 【脱電力】ということなのです。

 電気は素晴らしい発見であることは否めないのですが、それ以前にも人間は様々なアイデアで暮らしてきたのですし、文化、文明も電気の発明以前にすでに確立しているのです。

 いわゆるアナログな動き、仕事が見える仕組み、その極みは、今でも時計や自転車などの世界で熱烈なファンを持ち続けています。

 てこの原理や振り子の周期、カムやギア、支点と力点、円運動から直線運動へ、動きそのものが見ていて美しい。そんな腑に落ちるシステムは実に心地よいのです。

 高度にICチップ化し、ブラックボックス化する以前のテクノロジーをもう一度再確認し、採用することは出来ないものだろうか?

 これが僕のエネルギー遍歴から学んだ一つの気付きであり問いかけなのです。


 エネルギーのことを書き出したら止まらなくなってしまい、都合6回も書いてしまいました。お付き合いくださいましてありがとうございました。何分にも科学者ではない僕の書いたものですので、専門家諸氏から見たら見当違いな内容も多々あるかと思いますが、なにとぞご容赦願います。

 このエネルギーのことに関して、他にも幾つかお伝えしたいこともありますので、それは【非電化:番外編】に続く!と言うことにさせていただきます。ひとまず完!

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 【非電化番外編。その①】2008-04-08
 僕のエネルギー問題への気付きの第一歩になった、この蒸気機関のアイデアの元に、井上ひさしさんの書かれた「吉里吉里人」という小説があります。

 1973年に筑摩書房から出された「終末から」という隔月刊の雑誌に連載が始まったのがそれ。(この先鋭的な雑誌のことは又後日)

 東北地方のある小さな町が、日本国から独立を宣言してしまうと言うとんでもないフィクションなのですが、この小説は、当時すでに問題となっていた現代社会の内包するあらゆる矛盾をことごとくさらけだし、あばきだし、それをブラックな笑いに包んでお茶の間に届けてしまうという、ファンタジーのふりをした、革命的なアジテーション小説だったのです。

 そこで提案されるエネルギー問題の答えの一つが【蒸気機関】だったように記憶しています、何しろ石油の出ない町が独立してしまうのですから。

「終末から」が創刊された1973年、僕は21歳でした。

ステラブログにも書きました。

吉里吉里人wikipedia

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【非電化番外編。その②】2008-04-12
 スターリングエンジンって知ってますか?
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 スターリングエンジンとは?・・・「スターリングエンジン(Stirling engine) とは、シリンダー内のガス(もしくは空気等)を外部から加熱・冷却して仕事を得る外燃機関。スコットランドの牧師ロバート・スターリングが1816年に発明した。熱交換をすることによってカルノーサイクルと同じ理論効率となる。」・・・というすぐれもの。

 中学生の頃、初めてこのシステムを知り、「お~、人間ってすごいな~!」と、その方面の勉学の道も考えたのですが、高校に進んだ時には時代は動乱の60年代後期。今の言葉で言うのなら「自分探し」とやらに奔走?していたため、いつの間にか、記憶のかなたへと葬り去られてしまったのでした。

 その後大人になったあるとき、松屋だったか、銀座イトウ屋か、日本橋丸善か、忘れましたが、精密な外国製の模型(実動します)を発見したのですが、とんでもなく高くて買えずにいました。

 それから又月日は流れ、昨年、僕の隠れた愛読雑誌である、学研の「大人の科学」Vol.10・・・2006/1/15発売、に自作組み立てキットが付録として付いているのを発見、キャ~早速購入。

 あっという間に組み立てられると思っていたのですが意外と難しい。
 でも、ワクワクしながら出来上がったのがこの写真です。
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 工房にある非電化製品の数々、左から【炭のアイロン】【湯沸かし器(やかん)】【スターリングエンジン】下は【薪ストーブ】右下は【手動消火器(バケツ)】
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下の平べったい円筒形のものはシリンダーでして、中にはピストンがあります。
下の気室内の空気が温められると膨張し、ピストンを押し上げます。
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その力を垂直に伸びたプッシュロッド(中央左)が上にある円盤の中心軸に付いたプーリーに伝え・・・

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 往復運動を回転運動に変換し、円盤が回るというもの。

 まあ、それだけなのですが、このシリンダー部分が【スターリングエンジン】。
 回すというのはこのエンジンから発生した力を分かりやすくするためのものであって、他にも運動の形は様々なのです。

 凄いのは内部で起こっている過程とその原理。

 シリンダーの上の面と下の面との【温度差がエネルギー源】なのです。
つまり地球上いたるところにある温度差を利用して何らかの力を引き出すというのがこのスターリングエンジンなのです。

 かなり永久運動に近い動きをするので、実際に見ると感動します。ウラに何かモーターとかがあるのかと思ってひっくり返して見たりして(笑)

 エネルギーが枯渇することもありません。
 そこには排気もありません。
 作動音以外の騒音もありません。

 問題は、取り出せるエネルギーの大きさ!

 シリンダー内でガスを爆発させることによって力を得る【内燃機関】にくらべ、微弱な温度差によって作動する【外燃機関】では、圧倒的に不利なのでした。

 しかし、これはあくまで経済効率の範疇での出来事。

 過去にも何度か試行錯誤が繰り替えされたようで一馬力くらいの力は可能だそうです。ただしエンジン部分はかなり大きくなるようですが!

 現在、我々の置かれた地球環境のことを考えると、優秀な人材と予算を組んで、もう一度トライしてみる価値が十分にあるシステムだとは思いませんか?

【むかし、僕も【非電化】を目指していた!】・・・いかがでしたでしょうか?・・・まだまだ書ききれていない他の様々なエネルギーについては、また改めて書きたいと思っていますが、ここで一度筆を置かせていただきます。
ありがとうございました。

以上2008年にかかれたブログでした。

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