日々徒然

創作家具 安藤和夫

DM厨子の中はどうなっているのか!

「神代楡厨子」DMのお厨子の扉を開けたところです。
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 扉は折れ戸です。内陣背面は銀いぶし箔を貼っています。


 隔年で開催する個展において、私は毎回様々なジャンルの作家さんたちと共演しています。

 今回は、漆芸家の楠田直子さんとのコラボレーションがメインとなりました。
 前回2010年に初めて発表させていただいた共演がご好評をいただいたこともあり、私も楠田さんもまた、この共演を発展させたいとの思いがあり、実現しました。
 基本形は変えず、より充実したクオリティーのお厨子になっているのではないかと思っています。


 中央部のクローズアップです。

 この厨子の中心がここ、手掛けを兼ねた装飾、これが楠田直子さんの作品です。
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 漆芸作品、それも大変手間の掛かる技法である「乾漆」で造られております。

 色漆の地に銀板や螺鈿の象嵌、金その他の蒔絵などが施されています。 
 この作品一つで漆芸技法の様々をご覧になることができます。

2012kotenkannsitu_0003.jpg
 中心部、目のところには「マトリックスオパール」をあしらってみました。
 形も真円ではなく“楕円”・・・・今回のタイトルにもなった【バロック】を象徴する形でもあります。

 「お厨子」という箱において、内と外とを隔てる装置として扉の中心に在り、異次元への入口、ハレとケの境目、内陣を守る象徴として造っていただきました。

 同寸で三種の作品を造っていただきました。
2012kotenkannsitu_0001.jpg
こちらは黒漆呂色仕上げ・錆付け、など、漆の仕上げ工程の様々をマチエールにしています。

目には「バロック」を使いました。歪んだ真珠です。

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 グレーに見えるのは「錫扮蒔絵」磨いてなめらかな肌、ざらついた肌などの変化があります。

 目は「バロック」歪んだ真珠です。


 以下、三種の「神代楡厨子」です。

外観は同寸ですが、乾漆作品に合わせて、板の使い方・細部のデザイン・内陣背面の箔などに変化を付けています。

2012koten_0004.jpg

2012koten_0003.jpg

 今回のお厨子のタイトル「バロック」という名前、「バロック様式」又は、一般的に「歪んだ天然真珠」としてご存知の方も多いと思います。

 元はポルトガル語のバロッコから来たと言われている言葉で、ルネサンス期、新しく起こりつつある文化に対して「なんだ最近の若者は・・・!」と、保守層からの蔑称として「バロック」=「歪んだ真珠」の意で使われたとか!

 後に一時代を表す名称となる「バロック」には、私を刺激する多くの宝物が散りばめられております。

 例えば「健康な文化が爛熟する過程」において、「キッチュな趣味性の強いもの」として、「本来の意味性を剥奪したかのような装飾性」において。そこには俗悪もあれば奇跡のような美しいものもある、玉石混交、見る人の目を試す程の幅の広さ。

 バロックは、ポストルネサンスとして人間の大いなる可能性と想像力を喚起するポジティブな時代として魅力に富んだ時代であると思っています。

 一方、「真円」は中心点が一つであり、求心力は高いが窮屈でもあることに対して「楕円」は二つ以上の中心が存在し、闇をも含めて内在する宇宙が大きいと感じられること、未知なる部分の深さなどから、ずっと惹かれていた次第です。

 【楕円】と【バロック】・・・惹かれていた様々な概念、これがどんな形で木工作品になるのか?・・・長い年月が必要でしたが、楠田直子さんとの出会いから、ようやく今回の作品に結実したと思っております。
 ご高覧いただけましたら幸いです。

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乾漆(かんしつ)とは(楠田さんの説明文)
 乾漆とは、木や土(現代では石膏など)の原型の上に、漆で麻布を何層にも張り重ねて固める技法です。乾漆は近代の用語で、中国では古くから夾紵(きょうちょ)といい、日本では即・塞と(いずれも「そく」)と言いました。この技法の起源は中国で、既に漢代に棺・容器の遺例があります。夾紵像も記録では四世紀末から造像が知られ、仏像や皇帝像が造られました。軽量と耐久性を利点とする夾紵技法は日本に7世紀初め頃に伝来し、棺や仏像の制作に用いられました。

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